Home 富士通、GaN HEMTの高出力化

富士通、従来比3倍となるGaN HEMTの高出力化に成功

●東芝は12月13日、同社のメモリ事業売却に関して係争中となっていた米Western Digital社(以下WD)との和解を発表した。両社は今後、フラッシュメモリ事業に関する協業を一層強化する。
●同合意により東芝メモリとWDは、現在建設中の四日市工場第6製造棟への今後の設備投資を共同で実施すると発表した。東芝が本年10月に公表している投資が含まれる。また両社は、東芝が岩手で建設を計画する新製造棟へのWDの参画に関する最終契約についても、今後協議を進める。
●両社は、フラッシュメモリ事業に関する合弁会社の契約期間を延長する。フラッシュアライアンス社については2029年12月31日まで、フラッシュフォワード社については2027年12月31日まで契約を延長する。フラッシュパートナーズ社については、既に2029年12月31日まで契約が延長されている。
●今回の和解により、東芝メモリの売却に関して全当事者が協調することとなった。東芝は2018年3月末までの売却完了に向けて、引き続き手続きを進める。
・ 富士通、富士通研究所は2018年8月10日、気象レーダなどのパワーアンプ(増幅器)に適用可能なGaN HEMTにおいて、大電流化と高電圧化を同時に達成する結晶構造を開発し、マイクロ波帯の送信用トランジスタとしては従来比3倍の高出力化に成功したことを発表した。同技術を気象レーダなどに適用することで、レーダの観測範囲を約2.3倍に拡大することができ、ゲリラ豪雨に発展する積乱雲を早期に発見することなどが可能になる。

・これまでの従来技術では高電圧にすることでトランジスタの内部を構成する結晶内で破壊が起こりやすくなり、高出力に必要な大電流化と高電圧化を両立することが困難だった。今回、トランジスタ内部にかかる電圧を分散し、破壊を防ぐことで動作電圧を向上する結晶構造を開発した。なお、本研究の一部は、防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度の支援を受けて実施された。

 ・今回、結晶構造において、電子供給層と電子走行層の間に、高抵抗なAlGaNスペーサ層を挿入することで、トランジスタの大電流化と高電圧化を同時に実現することに世界で初めて成功。ゲート幅1mmあたり19.9ワットの世界最高となる出力密度を実現した。
・これまですべての電圧が電子供給層に集中していたが、今回開発した高抵抗のAlGaNスペーサ層を挿入することで、トランジスタ内部の電圧を電子供給層とAlGaNスペーサ層に分散することができるようになった(図1)。電圧集中が緩和した結果、結晶内部の電子の運動エネルギー上昇が抑制され、電子供給層における結晶破壊が避けられることで、100ボルトまでの動作電圧向上を実現している。これは、本トランジスタの電極距離(ゲート電極とドレイン電極の距離)を1センチメートルにした場合、30万ボルト以上の動作電圧になることを意味する。

・窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)系HEMTに、今回開発したAlGaNスペーサ層を適用することで、これまで両立が困難であった大電流かつ高電圧動作を実現する(図2)。さらに、富士通および富士通研究所が2017年に開発した単結晶ダイヤモンド基板接合技術を適用し、トランジスタ内部の熱を基板との接合部分から効率よく放熱することで、安定稼働を可能にする。実際に本結晶構造を持つGaN HEMTを測定したところ、ゲート幅1mmあたり世界最高出力となる19.9ワット(従来比3倍)を達成することに成功した。

・本技術を適用したGaN HEMTパワーアンプの熱抵抗や出力性能の評価を行い、2020年度に気象レーダーなどのレーダーシステムや5G無線通信システムなどへの適用に向けた、高出力な高周波GaN HEMTパワーアンプの実用化を目指す。
図1. 結晶破壊のメカニズムと、開発した結晶構造
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図2. 開発したGaN HEMTトランジスタ構造と従来技術との出力の比較
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最終更新 2018年 8月 20日(月曜日) 13:14